2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』の卒業生インタビューページです。
第二十四回は一橋大学落語研究会より心染プロジェクトに参加した、藤井 汐海(ふじい しおみ)さんが登場。インタビュアーはキンレイ心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビ「まんじゅう大帝国」として芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している田中永真さん・竹内一希さんです。
竹内:今回の卒業生は一橋大学落語研究会OGの潮家いさなとして活躍していた藤井 汐海さんです!
※以下文中では、いさなちゃん。
藤井:よろしくお願いします!
竹内:いさなちゃんとは、策伝大賞※の決勝戦で一度会ってるよね?
※全国の学生落語の全国大会。藤井さんは2018年から2年連続で敢闘賞を受賞。
藤井:はい!お二人が特別ゲストでいらしたときに決勝に上がれてすごく嬉しかったです。
竹内:いさなちゃんの落語はインパクトがあったから、よく覚えてるよ。
藤井:恐縮です!
田中:あの時、新作落語をやっていたよね?
藤井:はい。自分の得意分野だったのと、戦略的なことも考えて新作落語でエントリーしました。
田中:それで決勝に上がっているからすごいよ!ただ作戦立てればいいわけじゃないから。
竹内:新作落語はどうやって作るの?
藤井:私の場合は落語の登場人物を演じるときに、どうやったら違和感なく聴いてもらえるんだろう?って考えて作っていきます。たとえば「読み聞かせ」って、女性がお父さんを演じても違和感がないじゃないですか? それを落語でやるにはどうしたらいいんだろう、と思って。
竹内:確かに落語家さんは女の人を演じても違和感ないもんね。
藤井:そうなんです。そこで、登場するキャラクターを動物にすれば、読み聞かせのような世界観が出せるんじゃないか!?ってことを思いついて。策伝大賞の時は、NHKの番組でも取り上げられるので、温かい話にした方が受け入れてもらえるかも!とも考えてました。
田中:おお!そこにたどり着いたんだ!
藤井:大会の審査には関係ないかもしれないんですけど。(笑)
田中:いや、絶対関係あるよ!
藤井:策伝大賞では「ヤギさん郵便」と「たぬきのホーム」という新作の演目で二年連続決勝戦に進出できました。
竹内:なるほど~。動物っていうのが鍵だったんだ!参考になるなぁ~。
田中:参考にしたところで、竹内はもう策伝大賞に出ないだろ!
竹内:あ、そうだった(笑)。でもいい作戦だね。いさなちゃんは一橋大学だよね?
藤井:はい。以前このインタビューにも登場されていた志ん喬さんの後輩です。
竹内:ああ!そうかそうか!一橋落研での稽古はどんな感じだったの?
藤井:挙手制でした。稽古をつけてもらいたい人を募集して。
竹内:おお!効率がいいな!
田中:それが普通じゃない?日芸落研は強制だったの?
竹内:強制だったね。稽古中に突然「じゃあ竹内!」って先輩から指名されたら、「はい!」って(笑)。
田中:それはそれで緊張感があっていいね。
藤井:落研エリート養成学校みたいですね!
竹内:稽古の雰囲気は明るかったの?
藤井:はい。のんびりもしていました(笑)。
竹内:そういう雰囲気がいさなちゃんの落語を作ったんだね。
藤井:本当にそうです。自分がやりたいようにやらせてもらえて。台本に「ここで効果音が流れる」とか書いていました。(笑)先輩方は「いいじゃん!」って言ってくれて。
田中:温かい落研だね。そもそも、落研に入ったきっかけは?
藤井:落研の部室に行った時に、先輩に「社会学部です。」って言ったら、「じゃあ、社ガールだね!」って言われて。「なんて面白い先輩なんだ!」って感銘を受けたのがきっかけです!
田中:おお、その先輩もイチかバチかだったね!(笑)いさなちゃんにハマったからよかったものの…。
藤井:それで即決しました!(笑)
竹内:じゃあ、もともと落語好きってことではないんだ。
藤井:本当に知らなくて。落語が“お笑い”の分野の芸能ってことも知らなかったです。もともと演劇をやっていたので、人前で話すとかは経験があったんですけど、人を笑わせるっていうのは初めてだったので、新しい世界でしたね。
田中:笑いもそうだけど、全部自分で作ったり表現できたりするのが良いよね。縛りがないというか。
藤井:そうですね。動物出したり(笑)。一橋落研のおかげで落語にどんどんハマっていきました!
竹内:社会学部では、それはどんなことを学ぶの?
藤井:一橋大学には法学部、商学部、経済学部があるんですけど、社会学部では、その3学部で学ぶこと以外を「広く浅く」学ぶ学部です。3年生から好きなゼミに入って、専攻を決めて卒論を書いていくんですけど、私は「魔法少女アニメについて」という卒論を書きました!(笑)
田中:おお!?
藤井:なので、文献と称してずっとアニメを観ていました(笑)。
田中:まあ、観ないと書けないもんね!
藤井:はい!観なきゃいけないんです。「セーラームーン観ないと~」みたいな。(笑)
田中:友達に楽しそうにしているの見せられないもんね(笑)。アニメの卒論書いて、卒業後は就職したの?
藤井:素材メーカーに就職しました!
竹内:素材メーカー?
藤井:繊維などの素材メーカーです。今は会社の工場で労務管理をしています。社員の方の年休状況や、残業時間などを管理・フォローしています。
竹内:なるほどね!就職活動はどうだった?
藤井:運よくすんなりと進みました。
竹内:すごい。面接とかが上手くいったのかな?
藤井:対策はしっかり練りました。同じエピソードでも話し方とか構成によって面接官の反応が全然違うので、いろいろな人に見てもらってブラッシュアップしていったら、徐々に受かるようになってきました!
竹内:やっぱり人に見てもらうことが大事なんだね!
藤井:そうですね。学生らしさと社会で求められていることのバランスを見極めて準備していきました。ただ運もあると思います!内定をいただいた企業の中には、「社風に合っている!」って言われたこともあって(笑)。
田中:対策を練ったのに、雰囲気で決まるんだ!って感じだね。(笑)
竹内:心染プロジェクトに入ったのはいつごろ?
藤井:2年生の秋頃に、志ん喬さんと一緒に入りました。コロナ渦になってしまって「出張落語会」「出前授業」には参加できなかったんですけど、関東落研連合との「落研の夏フェス」、SPICEとのリモート企画には出させていただきました。
竹内:そうか!リアルの落語会に参加できなくて残念だったね。
藤井:そうなんです…。余裕のある4年生になったら、たくさん参加しようと思っていた矢先のコロナ渦だったので…。
田中:リモートでの出演って、やっぱり大変だったでしょ?
藤井:誰が観てくれているのか、ウケているのかもわからないので大変でした。
田中:作戦が立てられないよね。
藤井:やっぱり対面の方がやりやすいです。その方が人とのつながりも生まれやすいので。私たちの学年はコロナ前を知っているので、他大学の部員とのつながりも出来ていたんですけど、後輩が可哀想で…。
竹内:そうだねぇ。もう少し落ち着いてくれるといいんだけどね。落語ができないと落研に入った意味もないし。
藤井:そのコロナ渦で、心染プロジェクトと関東落研連合の「夏フェス」や「落研グランプリ」があったので、後輩たちも救われたと思います。「夏フェス」は再生回数も凄まじかったですし、リモートでも多くの人に見てもらえた実感がありました! SNSで感想を言い合うっていうプラットフォームになっていましたし。お世辞抜きでありがたかったです。
竹内:おお!いいことを言ってくれた!(笑)ありがとう!(笑)
田中:お世辞じゃないって言ってたでしょ!ありがとうって言うんじゃないよ!無理して言ったみたいになるから!
竹内:ははは(笑)でもキンレイさんがこんな状況でも協力してくれるっていうのもありがたいよな。でも、学生のみんなの思いがないと実現できないことでもあると思うよ!
田中:社会人一年目ってことだけど、やっぱり社会人っていうのは学生時代とは全然違う?
藤井:違いますね。何をするにもいかに効率良く、合理化していかないと成果にならないなと思いながらやっています。
田中:やっぱり社会人っていうのは、求められるものが高いんだね。
竹内:結構怒られたりもするの?
藤井:怒られますね…。
竹内:「コラー!」みたいなこと?
藤井:「一回考え方教えたのに、これはこうしないとだめだよね?」みたいな…。
竹内:うわー!きついねー!
田中:まあごもっともなんだよな。(笑)
竹内:社会で「コラー!」みたいのはないんだね!
田中:ないよ!(笑)
竹内:でも慣れていけば、楽しくなるのかもね!
藤井:多分、日芸落研よりは厳しくない環境だと思います(笑)。
田中:日芸落研は厳しさを履き違えているから。(笑)
竹内:理不尽だからね。(笑)
藤井:日芸落研にいれば、どの会社にいても大丈夫だと思います!(笑)
田中:そんなことないよ!(笑)
竹内:卒業してからもキンレイさんの商品を食べたりしてる?
藤井:あ!本当に!毎週食べています!
二人:おお~~~!
藤井:心染プロジェクトに参加する前から「京風だしのおうどん」が好きで!今は愛知県で働いているんですけど、スーパーに「味噌煮込みうどん」が売っていて、今まで色々な味噌煮込みうどんを食べましたけど、キンレイさんのが本場の味に一番近いです。
竹内:すばらしいね~!
藤井:辛いのも好きで、「台湾ラーメン」も本当にほぼお店の味なので、お店に行く必要がないな!って思っていて!
田中:絶賛だね!!
藤井:本当にお世辞じゃなくて、すべての冷凍食品の中でキンレイ商品が一番美味しいと思っています!本当に本当にお世辞じゃないんです!「やってんな~」って思うかもしれないんですけど、本当に思ってるんです!(笑)
田中:そう言おうって思ってたの~?(笑)いいよ、そんな~!(笑)
藤井:違います!(笑)本心です!!
田中:そんなに好きでいてくれるなんて、キンレイさんも嬉しいだろうね!
【藤井 汐海さん プロフィール】
2021年に一橋大学社会学部社会学科を卒業。
現在は素材メーカーに就職し活躍中。
【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】
株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。
2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。
【その他、受賞歴等】
・国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
・フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
・WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
・MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
・TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン
(2017年6月/2018年11月)
・第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
・2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
・2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
・竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか
全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日
よりDVDが発売予定。
・初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
・2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) 〜決戦!お笑い有楽城〜』にて
優勝。
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