インタビュアーは心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビとして芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している「まんじゅう大帝国」の田中さん・竹内さんです。
■中大落研落研部員紹介
竹内 今回は、第五回「まんじゅう大帝国のおちけん部室訪問!」です!
田中 今回出演してくれる落研は中央大学落語研究会のみなさんです!
中大落研 よろしくお願いします!
竹内 よろしくお願いします!まずは自己紹介からお願いします。
樋口 はい。四年生の扇家なん輔(おうぎや なんすけ)こと、樋口武大です。よろしくお願いします。二年前には部長を務めていました。
竹内 なるほど!じゃあ、中大落研のすべてを知っているんだね!?
樋口 はい(笑)
竹内 では、お次は?
笠原 四年生の笠原昌人です。高座名は三優亭可不可(さんゆうてい かふか)です。役職と
しては、演技部長という副部長の役割を担っていました。今日はよろしくお願いします。
竹内 お、よろしくお願いします。“演技部長”っていうのも中大落研ならではのワードだね。おいおい詳しく聞かせてください。
樋口 笠原は書道のサークルにも入っていて、去年の8月に地元・長野県諏訪市の美術館で二週間、個展を開けるほどの腕前です。
田中 すごいな!
笠原 そうなんです。お客さんも500人くらい来てくださって。
竹内 500人!?一大イベントじゃん!
田中 長野県って800人くらいしかいないから県民のほとんどが来たんだね。
竹内 んなわけあるか!もうちょいいるよ。笠原くんは今後も書道を続けていくの?
笠原 書道を教える資格を取ろうと思っています。
田中 良いね。お次は?
松川 三年生の中央亭桜楽(ちゅうおうてい おうらく)こと、松川俊也です。昨年度の演技部長(副部長)でした
竹内 歴代の演技部長が勢ぞろいだね!次は二年生かな?
信田 はい、二年生のあたり家中華(あたりや ちゅうか)こと、信田慶太です。よろしくお願いします!
竹内 あたり家中華(笑)。
田中 どうした?
竹内 いや、笑ってしまってごめんね。なぜだかツボに入ってしまって。中華料理が好きとかなのかな?
信田 いや、中国が好きで…。文化とか。
竹内 文化が好きなんだ!そのことが先輩にばれたのかな(笑)?
田中 ばれようがないけどな
竹内 入学式にチャイナ服とかで行ったの?
信田 いや、行ってないです(笑)。勇気がなくて(笑)。
竹内 あ、チャイナ服で行こうとは思ってたんだ(笑)。
田中 着るにしてもチャイナ服ではないだろ。
竹内 そっか(笑)。よろしくお願いします。
笠原 彼は今の部長です!
田中 ええ!?そうなんだ!言ってよ!
信田 いやあ、部長と言えるのかわからない程、ポンコツで。
田中 まだまだこれからだ。次で最後かな?
福山 一年生で現在、演技部長(副部長)をやっております、室見川小談次(むろみがわ こだんじ)こと、福山桃花と申します。今日はよろしくお願いします。
竹内 一年生!えっと高座名、なんて言った?
田中 イカつかったな。
福山 室見川小談次です。
まんじゅう 室見川小談次!?
田中 すごいな!落語家さんでありそうな名前だね。隅田川馬石とか五街道雲助一門みたいな。
竹内 大昔の名跡を掘り起こしたみたいだね。で、演技部長!?
福山 はい!
竹内 でも、一年生なわけでしょ?
福山 二年生が信田さん一人しかおらず、一年生から選出いただいたんです。
竹内 そうかそうか。じゃあ、人数が少ないのか…。今は全体で何人くらいいるの?
福山 35人です!
竹内 あれ!?多いな!二年生が信田君しかいないのか!
信田 はい!同期は全員辞めてしまいました!
田中 めちゃくちゃ大変じゃん。35人を束ねないといけないんでしょ(
笑)?
樋口 今の三、四年生の人数が多くて。
竹内 あ、そうなんだ。一年生は?
福山 9人くらいです。
竹内 あ、それでも多いな!野球できるね!
笠原 4年生はサッカーできます!
竹内 いいね!球技大会できるじゃん!
田中 まあ、やればね!
■高座名は世襲制!?
竹内 中大落研は高座名は自由に付けられるの?
笠原 代々受け継ぐ形式が多いです。
田中 笠原君の“可不可”はそうだよね。僕の先輩にもいたわ。
竹内 じゃあ、引き継いでいくパターンと信田君みたいにオリジナルで付けるパターンがあるんだ。あたり家中華は信田君が初代なんだね(笑)。
信田 誰にも継がれなさそうですよね(笑)。
竹内 割と良い名前だと思うけどなあ。
笠原 名前は“ふられ亭”だと“粋雀”とか“小夜奈良(さよなら)”、“航海”(こうかい)、“扇痴”とかフラれたことに関係する単語が下に付きます。僕の“三優亭” の場合は大学の成績に由来する言葉が付きます。なので僕は“可不可”となっています。
竹内 なるほどね。屋号・亭号から意味をくみ取って付ける文化なんだね。ちゃんと理由があると説明しやすくて良いね。
笠原 一年生は先輩が付けた名前で一年間過ごさないといけないんです。二年目以降、代々ある高座名に変えて良いって流れです。
竹内 あ、じゃあ、福山さんの高座名は今後変わっていくんだ
樋口 中大落研は毎年5月に「バトルロワイヤル」っていう二年生の選考会をやるんですけど、その会が終わった後に代々引き継がれてる高座名リストから、先代、先々代のOBの方々に電話をかけて許可をいただきます。
田中 うわあ!すごいね。
樋口 中には「簡単には継がせない」っていう厳しい方もいて。
田中 かける方も大変だけど、かかってくる方も大変だね。卒業して10年後とかにかかってくるわけでしょ?
樋口 知らない番号でも出るようにしないといけないんです!
■部内での厳しい戦い「バトルロワイアル」!
竹内 さっき言ってた部長とか演技部長とかは「バトルロワイヤル」で決めるの?
樋口 そうです。「バトルロワイヤル」で一位になった人が次の年の演技部長になります。
田中 完全に実力社会なんだね。
樋口 松川と笠原は勝ち抜いた面々です。
竹内 おお!!緊張してきたな!でも上手い人と個性的で面白いので判断基準が大きく二つあると思うんだけど、そのあたりはどうなるの?
樋口 その時その時の先輩の判断に委ねられます。
笠原 ただ、演技部長になると他の部員に落語を指導する立場になるので、所作や落語の舞台背景への造詣にある程度深くないといけないです。あとは人格がしっかりしてないといけないので、そのあたりはチェックしていますね。
田中 土台がしっかりしてるね。その文化が今でもちゃんと残っているのがすごいわ。
竹内 その雰囲気を信田君が引き継いでいくんだね。
信田 「バトルロワイヤル」を“不戦勝”で勝ち抜いた身としては…。
竹内 ああ(笑)!そうかそうか(笑)。でも勝ちは勝ちだから!
田中 そう。勝ちに不思議な勝ちなしだから。
竹内 ただ、後輩に「どうやって勝ち抜いたんですか?」って聞かれても答えようがないな(笑)。
田中 同期を辞めさせるとなれる!って言うわけにもいかないし。
■中大落研は体系的に落語を学ぶ!?
竹内 そういうルールの中で運営していくのは緊張感があるね。日々の稽古とかはどういうスケジュールなの?
福山 そうですね。毎週3回、昼休みに落語の勉強会をやっています。毎週1回、落語の鑑賞会、毎週1回、色物(漫才・コント・大喜利)を実演する企画会をやっています。それで月に数回、落語の稽古会をやっているのが主なスケジュールになります。
樋口 それぞれの会を取り仕切っているのを●●部長とか●●番長と呼んでいます。週3回の勉強会を仕切っているのが、福山が今担当している演技部長になります。演技部長が落語の舞台背景とか歴代の名人の生い立ちについて部員に講義をするんです。
竹内 ええ!?責任重大じゃない!
福山 はい!鑑賞会は鑑賞部長が仕切っていて、鑑賞部長が選んだ名人の落語を聴くっていう会になります。
笠原 たまに落語以外の「すべらない話」の録画を観たりしますね(笑)。
田中 そういうのも良いんだ(笑)。
樋口 鑑賞部長の精神状態によって、観るものが変わります(笑)。元気がない時は軽快なものを観て、元気な時は名人の落語を聴いたり(笑)。
竹内 鑑賞部長も「バトルロワイヤル」で決めるの?
樋口 いや、「バトルロワイヤル」は演技部長が決まるだけです。
竹内 鑑賞部長はどう決まるの?
樋口 部内で一番落語に詳しい人間がなります。寄席に通っていたり。
田中 さすがに毎回同じ落語家さんの落語を聴いてもね。
竹内 ちゃんと座学でインプットする機会があって良いね。卒業してから一番役に立つかもしれないね。どんだけ上下(かみしも)を綺麗に振れても、普通は一方向しか見ないからさ(笑)。登場人物を演じ分けたりしないし。
田中 そうだよ。自分の人生は自分しかやらないしね(笑)。落語を学ぶ機会があるって良いね。
笠原 四年生になるとその価値に気づきますね。
■中央大学唯一のお笑いサークル
竹内 部員が今35人もいるって話しなんだけど、新歓活動はどういう感じでやるの?ほとんどの落研が新歓に苦戦してると思うんだけど。
松川 中央大学ってお笑い系の公式サークルが落研しかないんですよ。なので、お笑いをやりたい一年生はとりあえず入るんですね。
田中 ああ、なるほど!
松川 なので、入って落語にも興味を持つ人と、辞めてしまう人で大きく二分するんです。お笑いだけをやりたい人は他大のお笑いインカレに移ったりします。
竹内 じゃあ、信田君の代はみんなインカレに行っちゃったんだ。
松川 多分そうかもしれません(笑)。
竹内 落語の魅力に気づいたのは信田君だけだったってことになるね。それでも35人もいるって良いよね。団体感があって楽しそうだし。
田中 良い空気なんだろうね。
笠原 信田が入学する時の新歓は僕らの代がやったんですけど…。申し訳ないことをしてしまいましたね。あ、お二人にお聞きしたいんですけど、落研で落語をやっていると漫才とかコントをやっても上手な気がするんですけど、どう思いますか?
田中 落研出身じゃない芸人さんの方が圧倒的に多いからなあ。でも個人的に落語の面白さに気づけた部分は大きいとは思っているかな。
竹内 落語の形式に面白みを感じられると細かいところまで意識が行き届くと思うから、漫才・コントをやっても面白いのかなぁ。そんな気はする。伝え方がうまくなるとは思う。
田中 そうだね。
笠原 お二人が去年の策伝大賞でスペシャルゲストとして漫才をされていて、めちゃくちゃ面白かったです。
田中 おお、ありがとう。あれ?そういえば今年の策伝大賞ってそろそろだよね?
笠原 はい、ちょうど一昨日終わりました!
※策伝大賞とは全国の学生落語の全国大会。第19回策伝大賞は2022年2月20日(日)開催。
田中 結果はどうだったの?
樋口 中大落研から一人、敢闘賞を受賞しました。心染プロジェクトにも参加している、ふられ亭粋雀(ふられてい すいじゃく)と三優亭可々四(さんゆうてい かかし)と合わせて、3年連続で決勝戦まで選出されています。
竹内 常連じゃない。良いねえ。活気付くよ!中大落研のみんなは他の落研との交流はどうなの?
松川 積極的に他の落研さんと寄席を開くっていうのはあまりないです。2か月に1回は自主公演をやっているので、あまり一緒にやる機会が少ないです。
竹内 そうかぁ。ある意味部内での活動が充実していることでもあるもんね。でも心染プロジェクトには参加している人が多いんじゃない?
松川 さっきお話しした粋雀もそうですし、僕も参加させてもらっています。僕は参加してすぐコロナになってしまったので…。
竹内 そうかそうか。コロナがあるから動きにくいねえ。
松川 でも、中大落研で毎年6月と12月にそれぞれ規模の大きな落語会をやっているんですけど、12月の落語会には心染プロジェクトを通してキンレイさんにサポートいただいています。観客の方々にキンレイさんの商品を贈るキャンペーンをやらせてもらったり、配信機材をお借りしたり。部員全員に商品を送っていただいたり。
竹内 そうなんだ!キンレイさんの商品は美味しいからなあ。お客さんも喜ぶだろうね。
笠原 僕のお父さんがすっかりファンになりました。いつも近所のスーパーを探して買ってきます!
竹内 良いね。落研界隈でどんどん輪が広がっていくと良いね!もうそろそろ新歓活動が始まると思うけど、それもまた楽しみだね。部長の信田君から新入生へのメッセージがあれば!
信田 ……。え!?僕?? えっと頑張れよ!みたいなことですか?すみません。ちゃんと聞いてませんでした。
竹内 部長!頼むよ!これから今日のインタビュー記事を読んで中大落研に入部する人もいるかもしれないからさ。
信田 えっと…。他の落研と違って、ちゃんとしている落研ってのが売りだと思っているので、しっかり落語をやりたい方の入部お待ちしてまーす!
竹内 こんな部長がいる落研はきっと楽しいだろうなあ(笑)!福山さんも支えてあげてね!言い足りないことがあれば!
福山 面白くなりたい人は入ってほしいです!
田中 まっすぐで良いね。一年過ごしてみてどうだった?
福山 私はお笑いをやりたくて入ったんですけど、落語の楽しさにも気づけてこうしてお話しできているので、この楽しさを多くの人に共有したいです。入部待ってます!
田中 良いね!完全に落研の人になっているね(笑)。
竹内 先輩たちの顔が恐かったもんな。「よーしよし、教えた通りだ!」って
顔してたけど(笑)。でも落研って楽しいからな。
田中 うん。戻りたいもん。大学は嫌だけど、落研にはもう一回入りたいかな。
竹内 先輩も多いしね。
信田 あとはFM相模さんで「中大落研のかおり」というラジオ番組も毎月一回YouTubeで公開しているので、ぜひ聴いてください!
【中央大学落語研究会 プロフィール】
・プロフィール: 日々、笑いを追求しています。我が落語研究会では、部員全員が演者です。お客さんや仲間たちと笑いを通じて豊かな時間を共有し、「業の肯定」を目指します。
・公式HP
【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】
株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。
【その他、受賞歴等】
・国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
・フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
・WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
・MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
・TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン
(2017年6月/2018年11月)
・第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
・2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
・2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
・竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか
全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。2021年4月28日
よりDVDが発売予定。
・初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
・2021年10月9日放送の『オールナイトニッポン0(ZERO) 〜決戦!お笑い有楽城〜』
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