2014年に発足し、「和食“鍋焼うどん”」×「伝統芸能“落語”」の魅力を多くの方々に伝達していくことを目指した文化啓発活動である『キンレイ心染プロジェクト』の卒業生インタビューページです。
第十九回は東海大学文化部連合会落語研究部より心染プロジェクトに参加した、栗原 帆南(くりはら ほなみ)さんが登場。インタビュアーはキンレイ心染プロジェクト卒業後、プロの漫才コンビ「まんじゅう大帝国」として芸能事務所(株式会社タイタン)に所属し活躍している田中永真さん・竹内一希さんです。
田中:今回はどなたですか?
竹内:東海大学文化部連合会落語研究部(以下:東海落研)OGの二代目 頭下位亭 黒塔(とうかいてい こくとう)さんです!(以下:黒塔ちゃん)
栗原:よろしくお願いいたします!
竹内:二代目・黒塔ってことは、第四回インタビューに出演した黒塔君の高座名を引き継いだってことだよね?
栗原:そうです!
竹内:黒塔の前はどんな高座名だったっけ?
栗原:頭下位亭 七夕他(とうかいてい なゆた)でした。
田中:良い名前だったのに、もったいないよ。黒塔にしちゃって(笑)。
竹内:二代目・黒塔が誕生するっていうプチニュースが落研界隈を駆け巡った時期があったね(笑)。
田中:落研で高座名を継ぐって変だけどな。“なんだそれ!?”って思ったもん(笑)。
竹内:あんまりないよね(笑)。キンレイ心染プロジェクトには参加したときはまだ、七夕他の時?
栗原:そうです。キンレイ心染プロジェクトは“先代”に教えていただいて…。
田中:“先代”!?
栗原:あ、すみません!私の前の黒塔です。
田中:そういうことか!このインタビューでは黒塔君を“先代”と呼ぼう。
栗原:先代から心染プロジェクトの取り組みを聞いていて、落語の場数を踏んだ者勝ちだと思っていたので、良い機会だと思って参加しました。
竹内:東海落研は厳しい印象が強いけど、黒塔ちゃんの時代はどうだった?
栗原:ほかの落研より体育会系ですね。試験とかもあって。
田中:何の試験!?
栗原:1年生の時は決まった落語を完璧に習得しなくちゃいけなくて、習熟度の試験です。
竹内:「この落語を覚えないと次の落語にはいけないぞ。グワハハハ!!」みたいなことか!
栗原:そうです(笑)。試験をパスしないと次の落語を覚えることはできないので。1年生の時は同じ落語をずっとやっていましたね。
田中:どの落語?
栗原:『道具屋』です。
田中:1年生はのびのび育てる落研が多い中、『道具屋』だけやらせるのはすごい。
栗原:はい。だから部員がどんどん減っていくんです…。
田中:1年生には辞めてほしくないから、甘やかしていたけどなぁ
竹内:でも部員は少ないけど、落語はちゃんとしている落研だよね。
栗原:ありがとうございます。
竹内:外に出て“大声稽古”とかやらなかった??
栗原:やりました。
田中:厳しい…。どうして落研に入ったの?騙されて(笑)?
栗原:東海大学・学園祭に行った時に落研の公演を見て入りました。高校3年生だったんですけど、面白そうだったので。
田中:大学入学前から決めていたんだ!東海落研の公演は会場設営が立派でね、あれを初めて見たら魅了されるよね。
栗原:雰囲気づくりにはこだわっていますね。「出張落語会」もしっかり高座を作る道具が揃っていますよね。なべやき屋キンレイのロゴが入った後ろ幕とか
田中:出演する方もやる気が高まるよね。印象に残っている「出頭落語会」とかある?
栗原:学童保育の小学生に向けた会です。それまでは高齢者の方々に向けて落語をすることがほとんどだったので。
田中:子供たちにやってみてどうだった?
栗原:落語のストーリーを全部理解しているわけではないんですけど、“じじい!”とか、言葉に対する笑いは起きました。
田中:普段言わない言葉だからかな?子どもの反応は予測がつかないから面白いよね。思ったより大人な子どももいるし。学年によってはきちんと落語を理解できるしね。
竹内:「出張落語会」とか「心染寄席」ではどんな落語やっていたの?
栗原:『長短』とか『湯屋番』、『化け物使い』とかをやっていました。「心染寄席」はちょうど学生落語の大会「策伝大賞」の時期と近いので最終調整の場として活用させていただいていました。
竹内:策伝大賞といえば、このインタビューが公開する頃には決勝戦を終えて、受賞者達が決まっているね。
栗原:今年は私の後輩が決勝に行ったんですよ!
田中:めでたい!そうそう、SNSで決勝進出者を見たけど、11人中7人が心染プロジェクトのメンバーだったよ!
栗原:はい!心染プロジェクトも実力者揃いになってきましたね。今年の「策伝大賞」は予選が映像審査だったんです。
田中:そうなんだ。決勝戦は?
栗原:決勝戦は例年通り岐阜県の会場で行われるそうです。観客は決勝進出者からの招待客だけだって聞きました。
竹内:なるほどね。無観客とかじゃなくてよかったね。
田中:予選が映像審査ってことは配信とかに慣れている人が強かったのかな?撮る場所も重要だよね。和室とかで撮った方が印象良いし。
栗原:確かに重要な要素ですね。今年の「心染寄席」も出演者それぞれが撮影した動画配信でしたね。
竹内:今は人前でできないから大変だよね。黒塔ちゃんは去年の「策伝大賞」は出場したの?
栗原:はい!ゲスト出演されたお二人の漫才も面白くて最高でした!
竹内:ありがとう!黒塔ちゃんはいつ卒業したんだっけ?
栗原:2020年度卒業なので、社会人1年目です。
竹内:どんな仕事をしているの?
栗原:通信インフラ系の会社に勤めています。
竹内:んん?つうしんいんふら?
田中:黒塔ちゃん、竹内にもわかるように説明していただけるかしら?
栗原:ビルの屋上とかには携帯電話とかインターネットのアンテナが立っているんですけど、その設置作業を主に請け負っている会社です。
竹内:「アンテナ壊れちゃった!」みたいな人の依頼がいっぱい入るってこと?
栗原 :いや、個人のお客様ではなく…。
田中:でも、アンテナって全部立て尽くしちゃったら大変だね。
栗原:今5Gができたので、大丈夫です!
田中:あ、そうか!5G用のアンテナが立て終わったら、6Gとかの新しい通信ができて、アンテナも整備していくのか。
栗原:そうです。
竹内:今の職種は大学で学んできた分野なの?
栗原:全く関係ないです(笑)。最初は広告系や企画系の会社を目指していたんですけど、全敗してしまって。手当たり次第に就活していたら今の会社とご縁ができて。
竹内:へえ。入社してみてどう?会社の雰囲気とか。
栗原:面接の時とのギャップもなく、楽しいです!。
田中:よかったね。良い面接だったんだね。今は在宅勤務?
栗原:いや、アンテナ設置工事の立ち合いとかがあるので、基本的には出社しています。
田中:大変だね。社会人1年目で失敗したこととかある?
栗原:たくさんありますよ。見積書をもらわなかったり。
竹内:どひゃーー!「こらー!」だね。
栗原:見積書の概念を知らなくて…。協力会社の方にフォローしていただいたり。取り返しのつかない失敗は今のところないですね。
竹内:間違ってアンテナを折っちゃったりとか。
田中:そんなことないよ!
栗原:いや、でも設置場所にペットボトルのキャップを落としちゃって。拾える範囲だったので良かったんですけど、もし気付かなかったら上司の首が飛んでいたので…。
竹内:『たがや』だね。
田中:『たがや』じゃないよ!侍の首が飛ぶんじゃなくて上司の首が飛ぶんだよ。全然違うから!
竹内:ギロチンね。
田中:違うっての!なんで処刑されちゃうんだよ!
竹内:公開ね。
田中:公開ってなんだよ。公開処刑のことか。なんでお前の連想ゲームに付き合わないといけないんだ!
竹内:ごめんごめん。社会に出てみて、後輩たちへのアドバイスとかある?
栗原:そうですね。落研や心染プロジェクトでの経験が今の会社とのご縁につながったので、落研での経験を武器にして就活に臨むのはアリだと思います。
田中:落語を少しでも知っている人に「落語できます」って言ったら“マジで!?” ってなるもんね。
栗原:はい。全く関心を持ってもらえない時もありますけど、続けていくうちに興味を持ってもらえる会社が見つかるので、安心して下さいって伝えたいです。
竹内:今も出社しているってことだったけど、夜ごはんとかは自炊?
栗原:いや、外食とスーパーの“お勤め品”に頼っています。それこそ、このインタビューのお話しをいただいた時に、キンレイさんの商品が食べたくなってスーパーに駆け込みました。「鍋焼うどん」が一番好きなんですけど、近くのスーパーになかなか置いていなくて…。何件がはしごして買うことができました。最近はラーメン商品が増えていますよね。「横浜家系ラーメン」が美味しかったです!
竹内:2月から新商品も発売されるのよ。
栗原:そうなんですか!?
竹内:「カドヤ食堂中華そば」と「東京醤油らぁ麺」の醤油ラーメン2種。
栗原:あ!これですか??
田中:そうそう!
栗原:新商品も楽しみです!心染プロジェクトに参加していたことで、ふとキンレイさんの「鍋焼うどん」食べたくなる脳になってしまいました。これからも東海落研をよろしく願いします!
【栗原帆南さん プロフィール】
・2020年に東海大学文学部文芸創作学科を卒業。
現在は通信インフラ企業にて活躍中。
【インタビュアー:まんじゅう大帝国 略歴】
・株式会社タイタン所属の漫才コンビ。2016年6月コンビ結成。2017年4月デビュー。大学時代は互いに落語研究会に所属し、学生落語の全国大会で優秀な成績を残す。2017年4月に株式会社タイタンに所属しデビュー。フジテレビ系『ENGEIグランドスラムLIVE』『ネタパレ』などに出演し注目を集める。
【その他、受賞歴等】
・国立演芸場 令和元年度「花形演芸大賞」 銀賞受賞
・フジテレビ「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」
・WEB CM パイロットコーポレーション フリクション「ネタ帳」
・MV ゼスプリゴールドキウイ「アゲリシャス」
・TBSラジオ「マイナビラフターナイト」月間チャンピオン
(2017年6月/2018年11月)
・第3回未完成映画予告編大賞「MI-CAN男優賞」(竹内一希)
・2020年1月29日より、初のDVD「詰め合わせ」発売。
・2020年10月7日より、第一回単独公演DVD 「私の番です。たしかにね。」発売。
・竹内一希さん主演映画『実りゆく』が2020年10月9日(金)に新宿武蔵野館ほか
全国の上映館で公開。「第63回ブルーリボン賞」作品賞にノミネート。
・初の単行本『笑いの学校』が2020年12月19日(土)に河出書房新社より発売。
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